奥久慈日記

わたしの住んでいる奥久慈ハウス物語



天音

奥久慈日記11

 


【今がチャンス】
いろいろな奥久慈の方と知り合ったなかで、ひとつ聞いたお話があります。「昔の農家の暮らしは、そりゃ大変だったよ。 農家のお嫁さんは子を生み育て、 すべてが農作業をするための労力としてしか扱われなかったんだから。」 と。 そのためとても悲しく辛い思いをしたかたも大勢いたそうです。 そうした苦労が心の中に辛さとして残っている方でも、 自分が傷ついた分、 人には優しく温かくかかわって下さるのかと思います。
「農家というと重労働、大変、地域が閉鎖的というイメージで、 嫁のきてがなく若者もみんな町へと出て行ってしまうんだ」という話や、 反対に、 息子、 娘には違う仕事を、 と願う話を耳にすることもあります。 お嫁さんにきてもらうから隣に家をつくってあげた(このあたりは敷地がひろい。)とかの声も聞きますし、 町にいる子供たちや孫たちに送ってあげるのが楽しみで野菜を作っている農家さんもたくさんいるのです。 そして後を継ぐ人がいないわけですから畑もどんどん余ってしまうのです。 今は昔のようなそんな暗いイメージなどありませんし、 農業も機械化され楽しくできるし心にゆとりのあるせいか、 そこに住む人たちも義理人情が厚くほがらかな人柄の方が多いのです。 わたしもどれだけ癒され励まされる機会の多いこと‥‥‥。 
ちょこっと寄れば 「茶飲んでいけ〜」と、お菓子や果物、 野菜のお土産まで持たせて下さる。 都会のつまらない虚飾の世界とはまったく違うのです。 幸いにも私が出会う奥久慈の人たちがみんなよい方達ばかりなのかもしれません。 わたしもこちらに住んでみて感じましたが、 お嫁さんとしてくるにしても、 こちらで野菜でも作ってみようと思う方でも、 今がチャンスですよ。
街にはネオンもビルも、きらびやかな誘惑もあふれんばかりの情報もたくさんあります。 でも田舎がなにもないのではなく、 余計なものがないということです。 原点を大切にする人たちが心をゆきかい合わせているのです。 交通が不便なのではないのです。 1分おきにくるぎゅうぎゅう詰めの電車に乗らなくても、 渋滞で右往左往しなくても“生きていくのに必要なもの”は十分手にはいるのです。 街で、 「お母さん、大根ないよ。」 「じゃあ、あなたちょっと買ってきて!」という会話も、ここなら「大根?前の畑にあるよ」 って‥‥。こんな豊かなことがありますか?野菜の保管場所が目の前の畑なのです。 それに、 近くの町のスーパーに買いに行くにしても渋滞はないし、 車ならほんのちょっとです。 なんてったって車も信号も少ないのです。 駐車場も広々していて、 運転初心者のわたしでさえ楽々駐車。 コンビニの駐車場なんてサッカーができそうなくらい広いところがたくさんあります。 そんなわけで、 スーパー、 ホームセンター、 役所、 温泉、 病院などに行くにしても、 免許取得一年目の若葉マーク付きのわたしでも、あちこち簡単にいけるのです。 昔のようにさびしい田舎なんてことなんてありません、 こころも豊かに暮らせるところ、 そしてこれがわたしの奥久慈ハウスの近所、 わたし活動エリアです。

【チンチン電車じゃなくてチンチン汽車】
奥久慈をはしる水郡線は、 茨城県の中心都市水戸と福島県のほぼ中央にある(たぶん?)郡山市を結ぶ2、3両のかわいい“電車”が、 いや“汽車”がはしっています。 うちの5歳になる怪獣は電車が大好き! 横浜にいたときは、しょっちゅう東横線や目黒線にのっては喜んでいました。 奥久慈では車で移動することが多い、 というか汽車は1、2時間に1本来るか来ないかなので‥‥‥。 ラッシュアワーと呼ばれる時間帯でも3,40分後にくるので、 乗る前には時刻表を確認しておかないと大変なことになります。 それに駅には駅員さんがいません。 でも誰かがいるのです。 切符を買うときに、 「駅員さん?」と聞いたら「違うよ」っていわて、 でもその方が切符を売ってくれました? 
改札には誰もいません。へ? それで、 なんとかホームに入って汽車を待つことになりました。 汽車がはいってきて停車して、 ドアが開く‥‥‥ はずなのですが、 待てど暮らせどぜんぜん開きません。 「どうしよう、 どうしよう、乗れない〜」 っと思っていると後ろから車掌さんが全速力で走ってきました。(といっても2両しかない汽車なのですぐですが) そして、扉の横についている“開”と“閉”のボタンを押すことを教えてくれたのです。 そうなのです、 ここの汽車のドアは自分で開けるのです。 そして乗ってみてまたびっくり! 2両の車両なのに個室トイレが付いているのです。 そして、運転席にはバスにあるような料金表の電光掲示板があります。 乗るときに番号の入ったチケットと取るようになっていて、それで運賃を確認するのです。 トンネルを抜け奥久慈の奥へ向かってはしる電車、いや汽車は少しだけ色づいた山々の美しさをわたしたちに見せてくれました。 そして汽車を降りるときもまたびっくり!切符は改札で渡すのではなく、運転手さんか車掌さんに渡すのです。 もちろん降りるときも自分でボタンを押してドアを開けなければなりません。 乗り過ごしてしまう〜。
でも楽しい一日でした。

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