

【奥久慈のこどもたち】
先日、畑のわき道を通ってコスモス畑の美しい光景に心を奪われながらドライブをしていると、一軒の小さな駄菓子屋さんを発見しました。 なんだか懐かしくなってちょっと車を止めて立ち寄ってみました。 “酢漬けイカ”、“かりかり梅”、“うまい棒”、“ソースカツ(実はタラの干した身)”、チョコカステラなどなど、ムフフのお楽しみ!お店の番をしているのは味わいある気立てのよいおばあちゃん。 お化粧もバッチリで、ちょっと濃い目の口紅がご愛嬌。
店内はなんだかタイムスリップをしてしまったよう。 「この辺のこどもってすごいんだあ、。この間なんか料理を教えられちゃって。」とおばあちゃん。 「こどもらの親たちは働いているから、自分たちがおなかすいたときに10円玉握りしめてうちにやってくるのヨ。」 「ずっと握ってたんだろうね、 ソースカツをくれって出した10円玉が温かいんだ〜。」 「そうするとこどもらが『おばあちゃん、これに卵をかけてご飯にのせるとカツ丼になるんだあ』 って言うんだよ。 だっからこの店やめられなくってねえ。
だって、あのこどもらの父ちゃん母ちゃんたちも昔はうちに来てたんだから。」
こどもたちのちっちゃい手で持ちきれないくらいの駄菓子でも何十円かで買えてしまいます。
こちらのこどもたちは“おぼこい”というのでしょうか、とっても素直な目をしています。それはこんなに温かく見守ってくれている近所のおばちゃんおじちゃんがいるからだと思います。本当に素直な顔をしているのです。 道で、わたしのような知らない人にあっても必ずあいさつをします。 おしゃべりしながら歩いている女子高生たちとすれ違ったときも、みんな話をやめて「こんにちはー」 って元気よくあいさつしてくれました。 街と違って歩いていてもあまり人に会わないということもあるのでしょうが、それでも小学生も中学生も高校生も、そしておじいちゃんもおばあちゃんもみんな黙ってすれ違うことはないのです。
まだそんな奥久慈に慣れないころ、 道の向こうからいかにも悪がき風の小学生達がやってきました。 今度こそわたしから大きな声で「こんにちはー」 って言ってやろうと心の中で準備をしていました。 そうしたら、意表をついて「おーす」というあいさつ。 思わず反射的にわたしも「おーす」と‥‥。
地域社会を大切に生きている人たちだからこそ、みんな知らない人でも必ず挨拶をするのだと思います。そして余分なものがないということは、自分たちで工夫しなければいけないことを知らないうちに身に付けているのでしょう。10円、20円を小さい手で握りしめてくるこどもたちの心は、親がそばにいない寂しさ以上にたくましさがあるのです。なんだか、わたし自身も童心に返ったような気持ちになって駄菓子屋を後にしました。奥久慈は、自然の呼吸と同じように人の呼吸も感じられるところなのです。
【栗三昧】
奥久慈はこれから紅葉の季節に入いろうとしているところで、朝晩涼しくて、日中でも肌寒い陽気が続きます。 今は、あちらもこちらも栗、くり、クリ。どこへいっても栗だらけ。 普通、栗ご飯はご飯の中に栗が見え隠れして、それで顔がほころんだりしますが、奥久慈、いや、もしかしたらわたしのまわりだけかもしれませんが、栗だらけの中にごはんが入っているのです。
というか、それくらい栗がいっぱいなのです。 奥久慈に来て2度目の秋、 初めて「ご飯栗」に出会いました。栗ご飯ではなく「ご飯栗」です。ごろごろたくさんの栗の中に見え隠れするのがご飯なのです。新米とホクホクの香ばしい栗。これがよく合うのです。というわけで、今回たくさん採れた栗をみなさんにおすそ分けしようと思います。 新宿の料亭の板長にお願いして作っていただいた、甘露煮、ワイン煮、渋皮煮。どれが今回の荷物に入っているかわかりませんが、この中のおひとつを少しですがお分けします。 栗の形はわれわれ素人が悪戦苦闘しながら剥いたものですから見た目悪いのはお許しください。※この日記は2005年9月22日発送の奥久慈野菜パック便に添付した内容ですので、現在は栗の甘露煮をパック便にお入れしているわけではございません。
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